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2025.04.18

後編 [奈良は感性を刺激する場所] ピアニスト大崎由貴さん特別インタビュー

イベント
大崎由貴特別インタビュー

 
 

※この記事はピアニスト大崎由貴さん特別インタビューの後編です。

インタビューの前編はこちら

 

奈良にいるだけで感性が刺激される

 
―登大路サロンコンサートで演奏するようになったきっかけは


(大崎さん) 2022年の冬、留学時代からの友人でJNO(ジャパン・ナショナル・オーケストラ)メンバーのヴァイオリニスト・宇野由樹子さんが、登大路ホテル奈良のクリスマスコンサートでの共演に誘ってくれました。実は2日間のコンサートのうち2日目のお昼に広島のコンサートが決まっていて、かなりタイトなスケジュールだったんです。奈良に来て、すぐに広島に戻って、また奈良にという感じで。電車が遅れたらという不安もあったのですが、「来られるのならぜひ」と後押ししてくれて、「じゃあ行く!」と。初めての奈良でした。そこからのご縁で、翌月から毎月演奏させていただくようになりました。宇野さんは恩人ですね。

大崎さん宇野さんデュオ

 

―レストラン「ル・ボワ」のような場所での演奏は


(大崎さん) 初めての経験でした。登大路ホテル奈良では、サロンコンサートを開催してからランチやディナータイムになるので、音楽と食をそれぞれしっかり堪能いただけるんです。最初はお客さまとの距離がすごく近くて緊張しましたが、今ではむしろ近いからこそ空気感を共有出来るのが嬉うれしい。演奏後お客様とお話して、感想をお聞きすることもあります。
それと、登大路ホテル奈良のホテリエのみなさんが、毎月「おかえりなさい」とあたたかく迎えてくださるので、本当にほっとします。リラックスして、いい集中で演奏に臨むことができています。

大崎さん演奏風景
Jeux d'eau

―サロンコンサートはソロとアンサンブルがあります


ソロの時もあれば、デュオやトリオで演奏を聴いていただくこともありますが、それぞれ全然違う楽しさがあります。共演者が本番だけで入れてくる表現もあって、ジャズのように音が変わるわけではないですが、アドリブ的な表現に自分も応えようとして、うまくいったときはゾクっときます。ソロでもアンサンブルでも、ルヴィエ先生から教わった “Be Happy on Stage” の精神 で、本番を楽しみながらまごころを込めて弾いています。サロンコンサートはお客さまとの距離が近い分、息遣いやアイコンタクトなども感じていただきたいです。

大崎さん演奏風景
大崎さん演奏風景
大崎さん演奏風景

 

―奈良でお気に入りの場所は


(大崎さん) まずはやはり、登大路ホテル奈良ですね。ホテル自体が駅から近くて便利なのに、隣が興福寺という特別な空間、いつ来ても感動しています。朝の散歩は人も少なくて空気が澄み渡っていて、みなさんが「朝の奈良が一番いいよ」と言われるのがよく分かります。そして、東大寺の二月堂、こちらは特に夜が一番好きです。初夏に二月堂裏参道で大仏蛍が見られると教えてもらって、歩いて見に行ったこともありました。高畑にある志賀直哉旧居も好きです。美味しい珈琲のお店もたくさんあって、よく行きます。

美しいものや景色にいつも触れていたい。インプットが足りないとアウトプットできなくて、演奏もつまらなくなる気がするのですが、奈良に来ると、ただいるだけで心が生き返る感じがする。毎月の奈良行きを心待ちにしています。いるだけで感性が刺激される感じがしますね。

奈良散策
京終駅ピアノ

 
 

―今後のサロンコンサートでやってみたいことは


(大崎さん) これまでも月ごとにテーマを決め、雰囲気や季節感に合う曲を選んできましたが、例えば、歴史の深い奈良でフレンチを提供されている登大路ホテル奈良ならではの「和と洋のテイスト」をテーマに、曲を集めて弾いてみたいです。フランスでも、ジャポニズムからインスピレーションを受けたドビュッシーの作品などがあります。ディナーコンサートの時間帯には、レストランの窓から夕日に照りかがやく興福寺の中金堂が見えることもあるので、マッチするのではないかと。この場所に合う、この景色に合う曲を探していきたいです。

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大崎由貴さん写真

大崎 由貴 Yuki Osaki プロフィール

広島市出身。
第18回東京音楽コンクールピアノ部門第2位(最高位)。第5回アルコバッサ国際室内楽コンクール(ポルトガル)最高位、併せてポルトガル作品賞受賞。
ソリストとして東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、群馬交響楽団、大阪交響楽団、広島交響楽団などのオーケストラと共演。
定期的に多数のソロリサイタルを行う他、弦楽器や管楽器奏者とのアンサンブルでも精力的に活動し、バロックから現代に渡るまで幅広いレパートリーを開拓している。
広島大学附属高等学校を経て、東京藝術大学音楽学部をアカンサス音楽賞、藝大クラヴィーア賞、同声会賞を受賞し卒業後、渡欧。ジャック・ルヴィエ氏に師事し、ザルツブルク・モーツァルテウム大学修士課程を首席で卒業後、同大学ポストグラデュエート課程を修了。令和2年度文化庁新進芸術家海外研修員。
現在、愛知県立芸術大学ピアノコース、東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校にて非常勤講師を務める。

大崎 由貴オフィシャルWEBサイト